最近のゲームセンターCXに足りないのは「冒険心」

初期の「ゲームセンターCX」では、ドリームキャスト用ソフト『Headhunter』のサントラ曲である「Jack's Theme」がBGMとして頻繁に使われていた。

曲のどこを切っても漂ってくる、えげつないぐらいのベタな「大冒険」感。番組がこの曲を選んだ理由は、もちろん単純に冒険らしさを演出するためだろうけど、同時に「たかがレトロゲームをプレイするだけなのに、曲は映画さながらの大冒険ムード」という自嘲気味のギャップの面白さも狙っていたのではないかと思う。

ところが、その「たかがレトロゲーム」が、この番組では時に本物の「大冒険」と化してしまう。番組のADさんと対等にタッグを組み、画面内のマリオ、ペルシャの王子、騎士アーサーと完全に一体化した有野さんが、とてつもない大冒険の末に魔王を倒したり姫を救い出したりした、ように見えたのだ(もちろん、それは番組の巧みな「演出」のなせる技でもあったとは思うけど)。

それと、初期の「ゲームセンターCX」は、当時まだほとんど誰もやったことのなかった「芸人さんがゲームをプレイしてエンディングを見せる」という内容のコンテンツを、試行錯誤と工夫を重ねながらコツコツ作っていく、という過程そのものでもあった。この新しい番組を制作すること自体が、制作者にとっての「冒険」だったんじゃないかと思うのだ。

私は、この曲がそうした「冒険心」を盛り立てるために不可欠な存在だったんじゃないかと思う。残念ながら、今ではこの曲が番組で使われることはほとんどなくなってしまった。

今でも「ゲームセンターCX」は面白い番組だと思うけど、この「冒険心」はずいぶん薄れてしまったように感じる。それは番組内の個々のゲームプレイに対してもそうだし、フォーマットがすっかり完成されて番組内容が安定してしまったという意味でもそう。ADさんも「共に戦う同志」ではなく、有野さんを(やや遠慮気味に)サポートする役割で落ち着いてしまっており、ちょっと物足りない気がする。もし権利関係云々の問題があるなら別だけど、あの頃の「冒険心」を回顧するという意味でも、久々にこの「Jack's Theme」を番組内でガンガン流してみてはどうですかね。

ゲームセンターCX DVD-BOX

ゲームセンターCX DVD-BOX

ゲームセンターCX DVD-BOX 2

ゲームセンターCX DVD-BOX 2

ゲームセンターCX DVD-BOX 3

ゲームセンターCX DVD-BOX 3