ついに復活した傑作『時のオカリナ 3D』。やはり3DSは「続編+3Dリメイク」なのか


ニンテンドー3DSが、任天堂がもくろんでいたほどには売れていないらしい。とはいえ、3DSの市場は立ち上がったばかりだし、まだまだ伸びしろはあるはずだとは思うけど。でも、最悪このまま3DSが伸び悩んだままだとしても、任天堂のタイトルさえちゃんと遊べれば私は十分満足ではある。セガマークIIIメガドライブニンテンドウ64ゲームキューブ……伸び悩んだまま終わったかつてのゲーム機たちに、私は本当に十分楽しませていただいた。ゲーム機が市場で伸び悩んだかどうかと、そのゲーム機がつまらないかどうかは別問題なのだ。発売から4ヵ月足らずの3DSメガドライブと一緒くたにするのも失礼な話だけど。
私は以前「3DSの3DボリュームをOFFにしたらなぜかほっとした」と書いた。3DS裸眼立体視が本気を出すと、DSの「脳トレ」に匹敵するような画期的なインパクトを持った3DSオリジナルのソフトやサービスが登場して、私はお金と時間を浪費せざるを得なくなるんだろうなあ、と危惧していたのである。危惧って。しかし、今のところ3DSはそこまでの物にはなっていない
例えば、3DS裸眼立体視の本気を初めて体験できるのが、2011年5月発売の3DSオリジナル作品『スティールダイバー』なのだろうと私は勝手に期待していた。しかし、実際にプレイしてみると普通によくできたゲームではあるものの、少なくとも裸眼立体視の本気を見た!」という印象はまったく受けなかった
で、オリジナルではなくリメイク作品となる『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』であるが、原作の素晴らしさとリメイクの上手さ・丁寧さが相まって、類を見ない傑作に仕上がっていた。ふざけてるのかってぐらい立体視の範囲から視野が外れまくるけど(回転斬りなんて論外)、3DSオリジナル作品である『スティールダイバー』の立つ瀬がないぐらいに素晴らしい作品である。ゲームに限らないけど、当然ながら「新しいほど面白い」わけではない、ということをしみじみ実感させられた。

確かに、今回の『時のオカリナ 3D』や、3DSで先日発売された『ゼビウス』などの3Dリメイク作品には、「かつて慣れ親しんだゲームの世界を3Dで見たら、本当はこんな場所だったんだ」という、3DSオリジナルのタイトルでは実現できない静かな感動がある。これは絶対的な強みだ。
この感動は、老若男女を巻き込んでパラダイムをひっくり返した脳トレ」のインパクトには遠く及ばないかもしれないけど、3DSでこの3Dリメイク路線が推進されていくとすれば、それはそれで面白いことになるだろうと思う。任天堂だけでなく、過去にヒットした作品の権利を持っていれば誰でも乗っかれるからだ。GBAファミコンミニWiiバーチャルコンソールといったベタ移植よりもコストはかかるが、「過去の思い出が3Dでよみがえる」というのは字面の新鮮味の無さに反してかなりツブシの効く売り文句になりえる。
任天堂は、DS時代の「脳トレ」並みの画期的なムーブメントを3DSでは起こせないかもしれない。でも、「スーパーマリオ』『マリオカート』といった人気シリーズの続編に加えて、過去の名作の3Dリメイク版もあわせて楽しめるのがニンテンドー3DSです」という謳い文句は、ベタ中のベタかもしれないけどかなり座りがいいし、いろんな世代にもアピールできそうだ。今年のE3のラインナップを見ると、とっくにそうなっている気もするけど。
しかし3Dになっても『時のオカリナ』は一筋縄では行きそうにない。まだ序盤なのに自力でクリアできる気がしない。ニンテンドウ64版の攻略本、捨てずにとっておいてよかった。

ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D - 3DS

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