最近のゲームは「難しい」というより「量が多い」

id:uxlaymanさんの記事「最近のゲームが難しすぎる件について」を拝見して、本文の内容と関係なくて申し訳ないんだけど、最近のゲームが昔と決定的に違っているのは「難しさ」よりむしろ「量の多さ」じゃないかと思った。

昔は、たとえば『ロードランナー』(アクションパズルゲーム、1983年)が「全150面+面エディットモード付き」を売りにしており、当時はそのステージの多さにみんな驚いたもんだった。
でも今じゃステージがいくら多くたって誰も驚かない。フルプライスのパッケージソフトには、広いワールドマップもキャラクターもアイテムもイベントもいっぱい詰め込まれて発売されるのが当たり前みたいになった。

確かに最近のパッケージソフトの「お徳用感」はすごいし、「いっぱい入ってる」のってうれしいし有り難いんだけど、一方で「食べても食べても減らない」みたいな気分になることもある。

たとえば、私は買ってないけどWii Uの『進め! キノピオ隊長』。公式のキャプションいわく「たっぷり遊べる70以上のステージ」とのことだが、私はこの「たっぷり遊べる」が怖い。間違いなく面白いんだろうと思うけど、買ったが最後、何10時間「たっぷり」遊んだら終わりを迎えてモトを取ったことになるのか不安になる。

ここ1カ月ほど、私の家のPS3にはずーっと『PROTOTYPE 2』(寄生獣+グランドセフトオート的な、人が死にまくるエグいゲーム)のディスクが入れっぱなしだ。なかなかの傑作だと思うんだけど、この作品もかなりボリュームがあり、小さなミッションやイベントが本当にいっぱい入っているので、いくらやってもまるで終わりが見えてこない。まさに「食べても食べても減らない」感じ。

もちろんこの『PROTOTYPE 2』を中断して別のソフトを遊んでもいいんだけど、そのまま保留状態で積みっぱなしになるのがまた怖い。そうやって積み上げてきたソフトが何10本、何100本あるのか、正直見当がつかない。これ以上積んだら、私の心の中のバベルの塔的なものが倒壊すんじゃないか、みたいな恐れが、PS3のイジェクトボタンを押す指を阻む。何だそれ。

ファミコンからメガドライブの時代、私は一つ一つのソフトを確実にクリアして中古ソフト店に売って、また新しいソフトを買って、という健全なサイクルを実行できていた。健全か?

でも、N64/PS世代のあたりから、クリアしないで「いつかやるから保留」と積んでしまうソフトが加速度的に増えていった。
これがPS3になると、「ちゃんとやり込んだ」と自信を持って言えるソフトは数本しかない。それはつまらないからではなく「ボリュームが多いから」だった。

だから、PS4が世界的によく売れてるというのが意外だった。PS4が初めてのゲーム機だという人はともかく、PS3を持ってる人たちは、購入したPS3のソフトを全部ちゃんと遊びつくしたんだろうか、と思うのだ。
私は、PS3の『ザ ラスト オブ アス』も『グランド・セフト・オート5』も『BEYOND : Two Souls 』も、だいぶ古いけど『レッド・デッド・リデンプション』や『ゴッド・オブ・ウォー3』でさえ、まだ全然遊び込んでない状態だ。PS3の名作群を遊びつくさないままPS4に移行しちゃうのがもったいないので、PS4が欲しくても買わずにいる。