シャープのことは●●でも、電子ノートのことは(以下略


「シャープの製品を購入したいという人が減っている」というニュースを見ました。これに限らず、鴻海傘下となったシャープさんに関する最近の報道の中からポジティブなものを見つける方が難しいような状況です。
でも私には、iPodiPadなんかと同程度に「画期的」かつ「無くなってしまうと困る」シャープ製品が一つあります。それが「電子ノート」です。
(私が使っている電子ノートは型番WG-S20で、一世代前の機種です。最新機種のWG-S30では、ページ編集やアンドゥなどの便利な機能が加わっています)

デジタルノートならではの良さ

すでにいろいろな方が書いておられますが、この製品の良さは本当に「ノートを書く」ことに特化しているという点にあります。アプリなんてないしWi-FiBluetoothもない。ただひたすらノートを書くことに集中できるし、バッテリーも異様なほど長持ちします(1カ月は余裕です)。

ソフトウェアのつくりも手堅くまとまっていて、紙に書く感覚でどんどん書けます。さらに、紙よりも便利になっている部分もあります。たとえば「ペン」と「マーカー」という2つの筆記具モードが用意されているのですが、この2つはレイヤーが別になっているので(上の写真の黒い部分がペン、グレーの部分がマーカー)、ペンで書いた線の上のマーカーだけをイレイサーで消すこと(あるいはその逆)が可能になっています。デジタルなので「100%消せる」(消した跡が一切残らない)というのも、当たり前ですが有難いところです。

この製品は「ノート」でありつつも「手帳」的な使い方も考慮されていて、世の中に流通している「手帳術」みたいなテクニックが使えることも多々あります。手帳的なダイアリー/スケジュールページを期間指定で自動生成する機能も付いています。でも製品名が「電子手帳」だとアレなので「電子ノート」となったんじゃないかと思っています。
たとえば、以下のような雑誌に書かれていた手帳術やノート術の記事が参考になりました。

PRESIDENT (プレジデント) 2015年 12/14号 [雑誌]

PRESIDENT (プレジデント) 2015年 12/14号 [雑誌]

2016年度の売れ筋手帳ランキングが中身の写真付きで掲載されています。糸井重里さんや有名企業の経営者の方々が語る手帳術のお話も面白かった。

PRESIDENT (プレジデント) 2016年 2/29号 [雑誌]

PRESIDENT (プレジデント) 2016年 2/29号 [雑誌]

年収が2000万円になるかどうかはともかく、方眼ノート5分割からマインドマップまで様々なノート術を一気にまとめて読むことができます。

OZplus (オズプラス) 2016年 03月号 [雑誌]

OZplus (オズプラス) 2016年 03月号 [雑誌]

誌面の2/3がノートの使い方。さまざまな職業の方が「ノートに何を書いているのか」を披露されています。ノート向けイラストの描き方まで載っています。

色々なノートをこの一台に

この電子ノートを使ってみて一番良かったと思うのは「色々なノートをこの一台にまとめて持ち歩ける」という点です。
これまで色々な種類の「紙ノート」を購入してきました。コクヨ測量野帳モレスキンのストーリーボード、ナカバヤシのロジカルノート、さらにはダイソーの方眼ノートなどなど……。しかし、当然ながらこれらはすべて別のノートで、大きさも判型も別々です。
この電子ノートでは、方眼や横罫・縦罫といった罫線が「フォーム」として用意されており、このフォームを自分で作って使うこともできます(600x700ピクセル・4ビットのBMPファイル)。フォームはペンやマーカーとはまた別のレイヤーなので、イレイサーで消えることもありませんし、ノートを書いた後で別のフォームに変更することもできます。
もちろん電子ノートがこれらの紙ノートをそのまま代替できるはずもないのですが、メモ・落書きから参考書を読みながらの勉強ノートまで、用途に応じてフォームを変えたノートをいくつも作って持ち歩けるのは、とても楽しく便利です(それぞれのノートの表紙も手書きで変更できます)。なお、本体に保存できるページ数は最大3000(私が使っているWG-S20だと最大2000)。PCとの連携も考えれば、残りのページ数を気にする必要はまるでありません。
以下は絵コンテ用・4コマ漫画用・ロジカルノート風などのフォームです。クリックして「オリジナルサイズを表示」でBMPファイルが表示されます(保存後、拡張子をjpgからbmpに変更する必要があるかも)。

重要なノートはEvernote

ウェブクリップやノートやメモといった情報は、一か所にまとめた方が何かと都合がいい。私は、電子ノートで書いた一部の重要なメモはEvernoteへ転送して管理するようにしています。
この転送が若干面倒くさいので(ノートを書き出す処理をして、USBでつないで、ボタンを押して、ストレージとしてマウントして、書き出した画像をドラッグして……みたいな感じ)、たまに気が向いたら転送作業をする、という感じです。

なお、画像として書き出したノートは、BMP形式で1ページあたりせいぜい200kバイト程度。さらに、PC側でPNG形式に変換すると50kバイト程度まで圧縮されるので、容量を気にせずどんどん保存できます(蛇足ですが、MacAutomatorで以下のようなごく簡単なサービスを作って、ユーザーの Library/Services に入れておくと、手軽にFinderでPNG形式へ変換できます)。

自分好みのスタイラスを使う


電子ノートに付属しているスタイラスは金属製で上質だけど、ちょっと滑りやすいのが難点でした。電子ノートのタッチパネルは感圧式なので、先端の形状さえ似ていれば代替品はたくさん存在します。

価格.comを見ていたら、三菱のユニホルダーにワコムペンタブレットのペン先を付けて使うとしっくり来る、と書いている人がいたので実際にやってみると、確かにこれがしっくり来ました。私の場合、ホルダーの部分よりもペン先の方が若干細かったので、ペン先の根元側にちょっとセロテープを巻いて太くしてから差し込んだところ、がっちりハマって固定されました。グリップの部分が滑りにくく、とても書きやすいです。フェルトでなく標準のペン先を使っていますが、画面に傷が付いたりすることは特に起きていません。

ザウルスから続く系譜


私はこれまでシャープさんの電子手帳を2台、ザウルスは3台買いました。この分野におけるシャープさんの製品はとても優秀で、とりわけ手書き処理には一日の長があったように思います。スマートフォンすら存在しない時代の製品なのに、手書き文字認識や手書きメモ機能など、いま見ても決して悪くありません。久々にザウルスを起動して使ってみると、透過型のカラー液晶でスムーズにお絵描きができ、ちょっと驚きました。
昔の製品でさえこれなんだから、今後シャープさんが本気を出せば電子ノートはもっとすごくなるんじゃないの……と期待していたのですが、いまやシャープは鴻海傘下の企業となり、電子ノートの先行きは不透明です。
電子ノートはこのザウルスの流れを受け継いだ、まさにシャープさんらしい大好きな製品でした。「でした」って。過去形になったら悲しいっす。もし可能ならカラー電子ノートに進化して欲しかったけど、せめて現状維持のモノクロ版電子ノートを鴻海・郭会長がディスコンになさらないことを祈願してやまない次第です(できればもうちょっと画面を明るくしてくれたらうれしいです)。

シャープ 電子ノート ブラウン系 WG-S30-T

シャープ 電子ノート ブラウン系 WG-S30-T

シャープ 電子ノート WG-S20

シャープ 電子ノート WG-S20