まさにサンドロットの集大成。“偉大なるワンパターン”がWiiで結実した『斬撃のREGINLEIV(レギンレイヴ)』

任天堂サンドロットWii■2010年2月11日発売■斬撃アクション■6,800円(税込)■★★★★★
北欧神話の世界を舞台にした3Dアクションゲーム。プレイヤーは人間界に降り立った神の化身となり、Wiiリモコンを剣や弓といった武器に見立てて、人間と協力して巨大な敵の大群に立ち向かう。制作は『地球防衛軍』シリーズのサンドロットが担当している。


↑ほんとごめんなさい。いっぺんやってみたかったんです。
私はサンドロットという会社が好きだ。もちろんサンドロットのゲームそのものも好きだけど、私がことさらに面白いと思うのが、この会社が“偉大なるワンパターン”をかたくなに守っている点である。
私がサンドロットという会社を最初に意識したのが、SIMPLE2000シリーズのVol.31『THE 地球防衛軍』だった。まるでダイソーの100円グッズみたいな身もふたもないタイトルに油断していた私は、その質も量も大充実した内容の出来との落差に圧倒された。サンドロットの作品であることを知ったのはその後のことだ。
この『THE 地球防衛軍』で、サンドロットの“偉大なるワンパターン”はすでに確立していた。大雑把に言うと、それは「箱庭マップを舞台にしたステージと性能の違う武器が大量に用意されている、自由度の高い“ごっこ遊び”」といった感じであった。
地球上のあちこちを舞台に、様々な武器を駆使して巨大昆虫を殺しまくり、地球防衛軍ごっこを堪能できるこの作品に、私は夢中になった。続編『THE 地球防衛軍2』では空を飛ぶ自機が追加され、さらに面白くなっていた。その後登場した『超操縦メカ MG』は、ちょっと昭和アニメっぽい雰囲気のロボット同士が戦うアクションゲームだが、やはり箱庭マップを舞台に多数のロボットを使って戦うという内容になっていて、とても面白かった。この2作については、過去に記事を書かせていただいている。
http://pop-site.com/column/col042701.shtml
http://pop-site.com/column/col048301.shtml
そして今回の『斬撃のREGINLEIV(レギンレイヴ)』である。発売前の情報を見る限りでは、何だか登場人物がとても美形で、世界観もこれまで同社が採用してきた地球防衛軍だの巨大ロボットだのといったモチーフとは違った「北欧神話」。しかも発売元が任天堂。こりゃさすがにサンドロットのテイストは薄まるかと危惧していたのであるが、さにあらず。今回もまごうかたなきサンドロットの作品となっていた。
今度も「箱庭マップを舞台にしたステージと性能の違う武器が大量に用意されている、自由度の高い“ごっこ遊び”」という“偉大なるワンパターン”は健在。箱庭マップのクオリティは一気に向上してとても美しくなり、バリエーションも増加。武器も『朧村正』みたいに配合のツリーをたどって新しい装備を次々に開発できるようになった。広いマップに配置された大量の敵を倒す方法はユーザーにゆだねられ、どの武器でどう倒すも自由だ。
ただ、「ごっこ遊び」の部分がちょっとなあ。私は「地球防衛軍ごっこ」「巨大ロボットごっこ」は堪能できたが、今回の「北欧神話ごっこ」にはどうにも乗れなかった。「ごっこ遊び」というのは「世界観に入り込める」ことが前提なので、オーディンというのがえらい神様だということすら知らなかった私にとって北欧神話ごっこはちょっと敷居が高いみたいだ。でも私は十分このゲームを楽しめているので、たとえば劉備とか孔明とか言われてもよくわからない人が『三国無双』を楽しめる、というのと同程度には楽しめるのではないかと思う。北欧神話をよく知ってる人ならもっと楽しめるのかな。よく知らないが。なお、物語の要素はこれまでの作品よりも濃くなっていると思う。ステージ開始前にテキストや会話デモで説明される、みたいな簡素なものではなく、クオリティが高くしっかりとしたムービーがステージの前後に挿入されるようになった。
サンドロットのこれまでの箱庭アクションは、基本的にはシューティング的な要素が主流で、格闘要素は傍流であった。しかし今回はWiiリモコンを剣に見立てるという構想が念頭に置かれているせいか、剣による格闘要素と弓などによるシューティング要素が同等に扱われている。巨大な敵キャラを遠くから弓や魔法でチクチク攻撃するのはこれまでのサンドロット作品同様に楽しいし、剣やハンマーなどの武器を使って巨体を切り刻む格闘攻撃がまた豪快でスカっとする。CERO D指定にふさわしい「残虐な表現」である(このCEROの規制についてはちょっと疑問もあるんで、後日また改めて書かせていただきたい)。
さらに、基本的に「一人vs多勢」だった過去の作品とは違い、今回は一緒に戦ってくれる仲間が大勢いるのがまた楽しいんだ。多分『大戦略』でいうところの歩兵とか戦闘工兵程度の攻撃力しかないけど、束になるとけっこう心強いんである。しかも、この彼らがまた延々喋ってる。悲痛な叫び声からどうでもいい無駄話まで、その内容は実に様々だ。よくもまあこれだけの会話を収録して詰め込んだもんだと思う。
というわけで、サンドロットは今度もプレイヤーを裏切らず、見事に応えてくれた。過去の作品の内容をしっかり考慮した上で作られた「集大成」という風格すら漂っている。サンドロットの据え置き機タイトルがソニーでなく任天堂Wiiという不慣れな新天地に来たにもかかわらず、これほどのボリュームとクオリティを兼ね備えた作品に仕上がっているというのは本当にうれしい。定番の地球防衛軍やロボットといったネタを封印してもここまでやれる、というのは意外でもあった。でも、もしできることなら『超操縦メカ MG』の据え置き機版もお願いしたいところだ。

斬撃のREGINLEIV (レギンレイヴ) (特典無し) - Wii

斬撃のREGINLEIV (レギンレイヴ) (特典無し) - Wii