任天堂にとってiPadがプレイステーションの再来じゃないといいね
1990年代前半。当時の王者・任天堂はスーパーファミコンからニンテンドウ64にバトンを渡すのをしくじって、後ろから追いかけてきたソニーのプレイステーションに追い抜かれた。その主な理由は以下のような感じだったと思う。
- 任天堂が採用していたロムカートリッジに比べ、プレイステーションのCD-ROMは単価が安く、スーパーファミコンに比べてソフトの価格が一気に下がった。
- 任天堂にはちょっと真似のできない流通面での改革をソニーが行って、これもソフトの価格に反映された。
- 任天堂流通でありがちだった「分納」がなくなり、プレイステーションのソフトは「欲しい時にお店でいつでも買いやすい」ようになった。
- サードパーティ契約のハードルが低くなり、中小さまざまな企業・デベロッパがさまざまなソフトを引っさげてプレイステーションに参入し、ラインナップが一気にうるおい、ユーザーの選択肢が広がった(とんでもなくひどいソフトもいっぱいあったけど)。
で、2010年現在。私は、いまの現状があのソニー逆転勝利の時と似てるなと思うんである。
アップルは、携帯端末であるiPad/iPhoneで音楽も書籍もゲームもネットで同列に配信しようとしている。この挑発的な流れに対して、従来の小売店舗や流通を無視できない王者・任天堂は一体どう出るんだろうか。
次世代のDSにおけるネット配信が、今のDSiウェアみたいな実験的な存在のままなのか、それとも本腰を入れたものなのか(例えばナンバリングタイトルのマリオやゼルダをネット配信で専売する、とか)。ナプスターのユーザーをアップルがiTunesで合法的に取り込んだように、マジコンのユーザーを任天堂がネットを使って合法的に取り込むつもりがあるのか。PSPでは今ひとつうまく行っていない「店舗+ネット配信の併売」をやるのか。従来通り「カートリッジ式の専売」「小売店での販売」「テレビCMの大量投下」を継続するのか。
そもそもゲームのネット配信がゲーム販売の主流になりうるのか。大人はともかく、子供はやっぱりお店でカートリッジを買うしかないんじゃないのか。うちの近所のトイザらスの任天堂コーナーは次世代DSではどうなっちゃうのか……。と、気になることは枚挙にいとまがない。たとえば「アップルのゲーム配信にドラクエの最新作が登場」みたいなことが現実に起きたら、アップルが任天堂に勝ったと言っていいと思うけど、そんなことが本当にありうるんだろうか。
私は任天堂の次世代DSに勝ってほしいが、「勝ってほしい」とか考えてる時点でアップルの仕掛けた土俵にわざわざ乗っかるようなものなのかもしれない。iPadがプレイステーションの再来にならなければいいんだが。でも、任天堂が一度プレイステーションに負けなければWiiもDSも存在しなかったかもしれないわけで、一度アップルが主流になるってのも悪くない。結論としては「面白ければ何でもいい」ってことか。こんなまとめですいません。
ちなみに私のDSは『おいでよ どうぶつの森』専用機になりつつある(今年で5年目、まだやってます)。次世代のDSでも引き続き遊んでいきたいです。