ソーシャルゲームはゲーム業界の「少女マンガ」か


Zyngaの女性プロデューサーが語る「萎え」と「萌え」
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=3208


目からウロコでした。40代女性に限らず、なぜソーシャルゲームが大勢の人たちに支持されるのかがやっと理解できた気がします。グラフィックや謎解きなどの要素よりも、プレイヤーの日常生活や人間関係といった要素の方が圧倒的に重視される、ということなんですね。
農作物育成ゲーム『FarmVille』は名前しか知りませんでしたが、この記事の「好きな要素ベスト11」を読んで、遊んでみたくなりました。


で、この記事を読んで私は「1970年代の少女マンガの状況と似ているかも」と思いました。かなりおおざっぱですが、こんな感じです。


・1950年代:手塚治虫の登場を契機にマンガ媒体が市場として拡大・成立
 ↓
・1960年代:大人向けの表現や物語を含有する、劇画ブームの到来
 ↓
・1970年代:女性作家による少女マンガの発展(萩尾望都竹宮惠子大島弓子土田よしこらが登場)


これを無理矢理ゲームの世界になぞらえると


・1980〜90年代:任天堂の登場を契機にテレビゲーム媒体が市場として拡大・成立
 ↓
・2000年代:大人向けの表現や物語を含有する「劇画ゲーム※」ブームの到来
 ↓
・2010年代:(ゲームに関心のない人にも受け入れられる)ソーシャルゲームカジュアルゲームの発展


※「劇画ゲーム」というのは、たとえば『グランド・セフト・オート3』や『コール・オブ・デューティー』といった、大人向け(なおかつ、場合によっては大資本が投下された)作品を想定しています


これからのビデオゲームでは、ソーシャル性がますます重要視されるニンテンドー3DSはネットワーク機能がさらに強化され、内蔵ソフトにも「他人と関わりたい」「他人に見せたい」と思いたくなるような要素がたくさん入っていますし、ソニーNGPにも3GやGPSといった強力なネットワーク機能が装備されています。この流れで行くとソーシャルゲーム以降の「劇画ゲーム」はどうなっていくのか


マンガ界では、1980年代に入って大友克洋高野文子諸星大二郎といった才能が現れ、ニューウェーブと呼ばれるムーブメントが台頭。「劇画なのか少女マンガなのか」という分類が意味をなさなくなってゆきました


これをゲームの世界にたとえるとどうなるのか。ふと私の脳裏に浮かんだのは、コール・オブ・デューティー』の兵士が駐屯先で畑を作って作物を育てている映像。激しい戦闘の合間に丹念に育ててきたジャガイモを狙って夜中に畑に出没するイボイノシシを、Dragunov(スナイパーライフル)で仕留める主人公と仲間たち。もちろん、すべての場面を最新のゲームエンジンでリアルに描写。
……こりゃ売れないっすね。すいません。


参考:
wikipedia:少女漫画
wikipedia:劇画
wikipedia:ニューウェーブ_(漫画)