有野課長が『マリオ3』をクリアした

ゲームセンターCX」は今でも面白い番組だが、特に「有野の挑戦」の尺が伸びた第2シーズン(2004年10月〜)から1年間ぐらいが白眉だったと思う。『プリンス・オブ・ペルシャ』とか『魔界村』とか『スーパーマリオワールド』とか。これまでになかった番組を試行錯誤しながら手探りで作っている雰囲気が、勝負のガチ感の醸成にも一役買っている感じがした(最近の放送はノウハウが蓄積されたせいか、構成も段取りもしっかりしていて、安心して見てられるけど今ひとつグッと来ない気がする)。

数々の壮絶なバトルを演じてきた有野課長だが、中でも『スーパーマリオブラザーズ3』(2005年3月放送)の凄惨さったらなかった。伊豆のハトヤでゲーム合宿。へとへとになりながら徹夜でワールド8をプレイする有野課長。奮闘むなしく驚異のスピードで死んでいくマリオ。明け方になっても結局クリアできず敗北宣言。愉快で楽しいはずのゲームなのに、しかも憩いの場・ハトヤなのに、クッパのみならず睡魔や疲労をも相手に戦って散った有野課長。子供が見たらトラウマものである。でも、その身も蓋もない結末にはものすごいリアリティと説得力があった。

で、ちょっと前になるけど、Wiiニンテンドーチャンネルを見たら、有野課長が『スーパーマリオブラザーズ3』(ファミコンバーチャルコンソール版)をプレイし、クッパを倒してクリアしていた。私は驚いたと同時に、何だかがっかりしたんである。あの徹夜合宿の激闘みたいな雰囲気ではなく、『NewマリオWii』の発売告知ありきの、「クリアが前提」みたいなお膳立てがありそうな内容であった。有野課長があれほど全身全霊を傾けて敗れた相手なのに、たかが任天堂の宣伝動画ごときであっさり勝利しちゃうなんて。プロ野球の育成選手に永久欠番をあげちゃうぐらいの違和感を覚えた。いくら何でも段取りが良すぎだ。

あんまり話題になってないみたいだけど一応書いといた。『マリオ3』の真っ黒な黒星をひっくり返すなら、せめて本放送でやって欲しかったと思う。