「画期的」どころか実は「古典的」な8つのゲームシステム

最新の技術により日々変革が起きている……ように見えるゲーム産業であるが、1UP.comに掲載されたSteve Watts氏の記事「Eight Trendy Game Features That Are Older Than You Think」によれば、ゲーム産業にはまだまだイノベーションが足りないようだ。最新のゲームに採用されているシステムの中には、大昔のゲームがすでに実現しているものが数多く存在するという。
話はファミコンドリームキャストテーブルトークRPG、さらに中世にまでさかのぼる。この記事で挙げられている8つの項目以外にも、学ぶべき先人の知恵はまだまだ埋もれているのかもしれない。

以下、概訳です。

元記事:http://www.1up.com/features/trendy-game-features-older





1. パルクール(フリーランニング)的なアクション


ミラーズエッジ』『インファマス』などでおなじみ、フリーランニングスタイルの軽業アクション。しかし、これはゲームに3Dグラフィックが導入される前から実現されていた。その先駆けは20年以上前の『ピットフォール』『プリンス・オブ・ペルシャ』といった作品だ。YouTubeでは『スーパーマリオ』を完璧なライン取りとジャンプでプレイする、まさにパルクール的なビデオを見ることができる。

2. 交代で遊ぶマルチプレイ


例えばスマートフォン向けの『Words with Friends』のように、ネットワークを介して(同時ではなく)交代で遊ぶタイプの対戦ゲームが人気だ。相手の一手にすぐ反応してもいいし、逆に数日経ってから次の一手を打ってもいい
この手法は、電子メール、郵便、ファックスなどの手段を使って、チェスの棋譜のような内容を遠隔地に住む対戦者がやりとりする「プレイバイメール」型のゲームが元になっている。時には伝書鳩を使うこともあったという。12世紀にプレイバイメールが行われたという記録も残っている。

3. モーションコントロール


任天堂Wiiに始まり、PS3Move、そしてXbox360Kinectなど、21世紀に入ってすっかり定着したモーションコントロール。しかし、人の動きをゲームの操作に取り入れる試みはかなり前から行われていた。1990年前後に登場したU-ForceNES用)やActivatorメガドライブ用)などが有名だが、加速度センサーが搭載されておらず、赤外線センサーでプレイヤーの動きを追跡しており、精度は今ひとつだった。

4. オンラインパス


最新の大作ゲームでは、印刷されたアクセスコードを同梱し、正規に購入したユーザーだけマルチプレイなどの要素をアンロックできる、といった仕組みがごく当たり前になった。
しかし、かつてPCゲームがフロッピーディスクで提供されていた時代には、説明書の特定の箇所の単語や記号などを入力しなければゲームが開始できない、というアナログなプロテクト方式がよく使われていた。

5. DLC


追加シナリオからコスチュームまで、現在ではすっかり当たり前になったダウンロードコンテンツ。その起源は、インターネットも存在しない1980年代前半にさかのぼることができる。Atari 2600用のGameLineカートリッジは電話回線に接続することでゲームソフトのダウンロードを実現させていた。
その後のPCゲームにおけるMODの隆盛を経て、2000年に発売されたセガドリームキャスト用ソフト『ファンタシースターオンライン』における追加クエストの提供が、いわゆる「DLC」としては最も古いものの一つと考えられる。

6. モラルを示すパラメーター


Star Wars: Knights of the Old Republic』『マスエフェクト』『インファマス』などの作品では、ゲーム内の善行と悪行によって増減するパラメーターがあり、これによってゲーム展開が左右されるようになっている。
プレイヤーのモラルを初めてゲームに組み込んだのは、1985年の『ウルティマIV』だ。ゲーム内で善行を重ね(悪行をせず)、「徳」を積むことで聖者になることが求められる内容となっていた。

7. 3D(立体視


ニンテンドー3DSによって一般的な存在となった立体視技術。少しさかのぼると、2005年発売のPS2用ゲームソフト『Sly 3: Honor Among Thieves』で、赤青メガネによる立体視が実現されていた(註:『怪盗スライ・クーパー』の3作目。日本では未発売だが、2011年にPS3へ移植された)。
さらに元をたどれば、立体視の先駆けとなったのは1991年にリリースされた『Horogram Time Traveler』だろう。曲面鏡を使って2D映像を映し出すという、本物の「ホログラム」とは若干異なる仕様だったが、当時の子供たちには衝撃的だったはずだ。
(註:元記事では触れられていないが、1980年代にはファミコンセガマークIII用の周辺機器であるシャッター式の3Dメガネや、ファミコンディスクシステム用のソフト『とびだせ大作戦』(赤青メガネによる3D表現)などによって立体視が実現されていた)

8. オンラインゲームのパワーアップ要素


2007年にリリースされた『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』は、プレイヤーの「経験値」による多様なパワーアップシステムが大成功を収め、他の作品も次々に追従していった。もちろんこの「経験値とパワーアップ」はコンピューターRPGの文法だが、その起源はテーブルトークRPGダンジョンズ&ドラゴンズ」だ。同様のゲームはそれ以前にも存在していたが、独自のゲーム性と物語性を作品としてまとめ上げたのは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が最初だった。