電子書籍と「あげる」と「いつでも貸す」

かなり前に、ダウンタウンの松本さんがご自身のラジオ番組で、子供時代のことを話していた。お兄さん(松本隆博さん)の飽きてしまったオモチャを、松本さんが「くれ」と頼んだという。

そのときお兄さんは、オモチャをくれと頼まれて
「あげることはできないが、お前が貸してほしいならいつでも貸してやる。つまり、お前にあげたのと一緒だ」
みたいなことを言い、松本さんは腑に落ちない思いをしたと語っていた。

電子書籍が今ひとつブレイクしない、というような話を聞くたびに、この「あげないけど、いつでも貸してやる」という言葉を思い出す。「あげる」と「いつでも貸す」、そして「所有権」と「使用権」の間には、想像をはるかに超える深い谷が存在しているような気がする。