iOS版『スーパーマリオラン』から岩田元社長の意向を勝手に読み解く


今回発表になった『スーパーマリオラン』は、

  • 「無料+売り切り」。宮本さんも壇上で「一定のお金をいただくが、そのあとはどんなに遊んでもお金がかからない仕組みを考えている」とおっしゃっていた(14:00〜)ので、課金操作をいちど行うだけでずっとプレイできそう。
  • 完全オリジナル作品。3DSとかWii UとかNXのソフトの「体験版」みたいなモノではないし、バーチャルコンソールのような既存タイトルの移植でもない。スマートフォンのために作られた作品。決して市場を軽視していない。
  • なおかつ「もっと面白くて量も多いマリオを遊びたければ任天堂のハードを買ってね!」というメッセージにもなっている。(NXが存在していない)現時点でも、3DSWii Uを買えば「もっと面白くて量も多いマリオ」が何本でもプレイできるので、本作をきっかけに任天堂ハードに興味を持つ人が増えることも期待できそう。

といった内容になっているらしい。これまで、株主総会で故・岩田社長がスマートフォン市場への参入に関しておっしゃっていたことが、確実に反映されていると感じました。

でも、確かに『チャリ走』(をはじめとするラン&ジャンプゲーム)に似てる。初代『スーパーマリオブラザーズ』と『パックランド』のことを思い出しました。

「任天堂、次世代ゲーム機にカートリッジ採用」の件について

任天堂、次世代ゲーム機にカートリッジ採用へ=関係者 - WSJ
この記事に関して「任天堂が先祖返りした」的なコメントを拝見したのですが、「カセットとCartridge」「ゲーム機とConsole」のニュアンスの違いが話をややこしくしているのかな? と思いました。
まず「カートリッジ」というのは、日本だと(カセットテープサイズの)「カセット」と同義語のように扱われがちですけども、そもそも「Cartrigde」はニンテンドーDS3DSの「SDカードサイズ」の物にも適用される呼称です(ROM cartridge - Wikipedia)。ですので「カートリッジ」を採用したからといって「ファミコン時代に戻る」というわけでもないと思われます。
それと、この記事にある「次世代ゲーム機」は原文(英語版のWSJ)だと「Nintendo’s New NX Console」です。「NX Console」は(公式発表ではありませんが)「据え置き機でありつつ持ち運べる携帯機としても楽しめるゲーム機」としてすでに報道されています。ものすごく雑に言うと「ニンテンドー3DSHDMI端子がついていて、家ではテレビにつないでプレイできる」みたいな感じでしょうか。このNXのゲームソフトが「Catridge」で供給されるというのは、オンラインのアプリストア全盛の昨今とは言え、玩具店をはじめとした小売を販売網とする任天堂としては「いつも通りの選択」としか言いようがない気がします。

なおかつ、今回のWSJの和訳記事は原文の半分弱しか掲載されていなかったようで、原文の意図が若干反映されていなかったように感じました。
拙訳ですが、和訳記事になかった部分を以下に要約しました。

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シャープのことは●●でも、電子ノートのことは(以下略


「シャープの製品を購入したいという人が減っている」というニュースを見ました。これに限らず、鴻海傘下となったシャープさんに関する最近の報道の中からポジティブなものを見つける方が難しいような状況です。
でも私には、iPodiPadなんかと同程度に「画期的」かつ「無くなってしまうと困る」シャープ製品が一つあります。それが「電子ノート」です。
(私が使っている電子ノートは型番WG-S20で、一世代前の機種です。最新機種のWG-S30では、ページ編集やアンドゥなどの便利な機能が加わっています)

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まるで「ピンボールの名場面集」。インクの染みも美しい秀作『INKS.』

■INKS.■State of Play Games■iOS■2016年5月6日■ピンボール/パズル■240円■★★★★★
パズル要素の強いピンボールゲーム。たくさんのレベル(盤面)が用意されており、盤上のすべてのチェックポイントを通過すればレベルクリアとなる。盤上を彩るインク風の美しいエフェクトも特徴のひとつ。

公式サイト / App Store

元来、ピンボールは「限られたボールでいかに高得点を稼ぐか」という遊びであり、『David's Midnight Magic』にしても『ポケモンピンボール』にしても『Star Wars Pinball』にしても、たいていのデジタル版ピンボールゲームがそのお約束を踏襲していた。こうした従来のピンボールゲームは、「まずゲームのルールや約物の意味を覚える必要があり、さらにルールを覚えてゲームに慣れ上達するにつれ、どんどん一回ごとのプレイ時間が長くなっていく」という(昨今のスマートフォン時代には若干フィットしない)特徴があった。

この『INKS.』は、ピンボールをモチーフとして採用しつつ、従来のピンボールゲームの特徴からあえて逃れることで、スマートフォンでも手軽に楽しめるようになっている。本作の目的は長時間のプレイでハイスコアを狙うことではなく、「いかに最短の手数で盤上のチェックポイントをすべて通過するか」である。何度ミスしてもチェックポイントをすべて通過すればクリアだけはできるが、盤面の形状や障害物の配置を見極めて、もっとも少ない手数でクリアすれば「スター」を獲得できる。ピンボールの仕組みを使ったパズルゲームとも言えそうだ。
本作がこれまでのピンボールゲームと違うのは、「比較的シンプルな盤面が大量に用意されている」という点だ。全部で5つのステージがあり、それぞれのステージに24のレベル(盤面)がある。後半の2つのステージは各120円の課金アイテムとなっている。さっそく購入して遊んでみたが、ステージごとに難易度が上がるというよりも、レベルデザインの作風がステージごとに異なっている、という感じの作りになっていて、最初に入っている3ステージとはまた違ったテイストを楽しむことができる。
なお、セーブデータはiCloudに保存されるので、iPhoneiPadを使い分けてゲームを進めることもできる。iPad Air 2でプレイすると、バンパーにぶつかった時などのリアルな効果音が鳴るたびにiPadの背面がいい感じで振動し、本当にこういうピンボール台で遊んでいるみたいな気分になる。

インクをモチーフにした美しいグラフィックも本作の大きな特徴のひとつだ。ボールがチェックポイントを通るとインクが破裂したり染み出したり、ボールがインクの上を通ると盤上にボールの軌跡が残ったり(この軌跡が攻略の手がかりにもなる)といった描写がとてもキレイで、見ているだけで楽しくなってくる。クリアしたあとの盤面は、まるで絵画アプリで描いた絵みたいになる(このクリア済みの盤面をSNSなどでシェアする機能も付いている)。まさに公式サイトの言葉通り「Art and gameplay as one」な感じ。目的は最短の手数だけど、あえてクリアせず延々と盤面を汚しまくるのも面白い。
どのレベルも簡潔かつ緻密な計算のもとに作られており、しかもどのステージのレベルも自由に選択できる。限られた複雑な盤面の中で延々とストイックに攻略していくピンボールゲームとは違い、ピンボールの楽しさを色々な盤面で気軽に楽しめる内容となっている。とはいえ、序盤のレベルでは適当にやっていてもスターを獲得できるものの、レベルごとに難易度はどんどん上がっていき、かなりの試行錯誤の積み重ね(と若干の運)が必要になってくる。よっぽどピンボールが上手い人でも、けっこうな時間を楽しめるのではないだろうか。質も量も含めて、240円で本当に元が取れるのか心配になるぐらいの秀作。iOSの有料アプリとしてはまさに「出色」の出来だ(ダジャレです)。
私はピンボールのことはまったく存じあげないけど、この『INKS.』をプレイしていると「ピンボール名場面集」な感じもする。普通のピンボールなら不連続に現れる様々な場面(バンパーだらけの得点エリアにボールを突っ込むとか、細い隙間をギリギリのタイミングで狙い撃つとか、レーンを通って2階へ行って上フリッパーでターゲットを狙撃するとか……)をスライスして各々のレベルに振り分けた、という印象。『メイドインワリオ』みたいに、盤面が次々にランダムで出てきてサドンデスでどんどん攻略していく、みたいなモードがあったら面白そう。

人生で最初に「積んだ」ゲームを覚えていますか?


積みゲー」とは何か。『テトリス』的なパズルゲームのことを指す場合もあるが、ここでは「買ったけど最後まで遊ばずに(あるいは一度も遊ばずに)放置してしまったゲームソフト」として読んでください。
面白いゲームソフトが質的にも量的にも不足していた1980年代、私は「積みゲー」とは無縁だった。仮に積んでみたところで、かわりに遊ぶゲームソフトが潤沢にあるわけでもないからだ。たとえつまらないファミコンソフトでもきっちりクリアして売却し、それを資金にして次のソフトへ、という理想的なサイクルを維持していたのである。理想的なのか。
やがてメガドライブPCエンジンといったゲーム機、そしてX68000のような高性能なパソコンが登場し、さまざまなジャンルの面白いゲームが大量に出回るようになってくると、あの「理想的なサイクル」に停滞が生じるようになる。「積む」ことと「面白いゲームが増える」ことの間には密接なかかわりが存在するのだ。私が最初に「積んだ」ゲームは、1990年代前半に光栄(現・コーエーテクモ)さんが発売した『三国志III』(X68000版)だったと思う。
ファミコン版『三国志』(1988年)のノリ(比較的シンプルでわかりやすいゲーム内容とかデカいフォントとか)を期待して購入した『三国志III』だったが、意に反して中身がかなり複雑化していた。戦闘がクォータービューになったのには感動したけど、とにかくコマンドが細かくなって実行できることが増え、「これは真面目にやりだしたら長くやりそう」と尻込みしたのをはっきり覚えている。そして「いつか暇になったら遊ぼう」とか言ってX68版『悪魔城ドラキュラ』か何かに逃避。「いつか」は永遠に来ない、と近藤麻理恵さんがおっしゃっていた通り、私のX68版『三国志III』にも「いつか」は訪れず積みゲーの山の礎となったのであった。
その一方で、『三国志III』とだいたい同じ時期に光栄さんが発売した『ロイヤルブラッド』(架空の中世北欧ファンタジー的な世界観が採用された歴史シミュレーションで、三国志シリーズよりも難易度が低め)は夢中でやり込んだので、けっきょく私には『三国志III』は(世界観・難易度的に)合わなかった、ということなのかもしれない。のちに私はGBA版やDS版の『三国志』を購入してぼちぼちプレイし、あのとき積んだ『三国志III』の供養をさせていただいたのでした。供養って。
お金を払って購入するぐらいだから、そのゲームが好きだったり興味や期待を持っていたはずなのに、なぜか「積みゲー」と化してしまう。その理由もさまざまだろう。特に、人生で最初に「積んだ」ゲームは、その人それぞれの歴史や物語を伴っているような気がする。あなたは人生で最初に「積んだ」ゲームを覚えていますか。

なぜ非課金ユーザーはお金を払わないのか


Gamasutraに、Pavel Golubev氏の記事「なぜアプリのユーザーはお金を払わないのか」(Free-to-Play (F2P) - Why Mobile App Users Don't Pay)が掲載されていました。いわゆるフリーミアム型のゲームにおいて(いわゆる「ガチャ」で射幸心をあおるような手法とは別に)ユーザーからお金をいただくにはどうすればいいか、という内容となっており、簡潔で要点を押さえた記事だと感じました。

以下、一部引用します。詳しくは元記事をご参照ください。

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祝・10周年。DS Liteとテトリスを「集中力向上ツール」として再活用する


あけましておめでとうございます。
2016年は、いつにも増して様々な物件が10年単位の周年を迎える年らしい。ゲームの世界も例外ではない。たとえば、世界初のブロック崩し『Breakout』が登場した1976年から40年。『ドラゴンクエスト』の1作目が発売になった1986年から30年。任天堂ニンテンドー64が発売された1996年から20年。
そして、早いものでニンテンドーDS Liteの発売から数えて今年で10年だ。初代DSよりも液晶がキレイになって軽量化しつつ、従来のゲーム機とは一線を画したハードのデザインと、ゲームに興味のない人にもアピールするソフトのラインナップで、それまでゲームをしてこなかった人々も巻き込んで大ブレイクした。現在のスマートフォンゲーム隆盛の流れに先鞭をつけたのもこのDS Liteなんじゃないかと思う。
2006年3月の発売後しばらくはずっと入手困難で、amazonの商品ページが転売品で埋まっていたり、「近所のあの店に15台入荷したらしい」みたいな噂が流れてきたりと、DS Liteといえばとにかく「品薄」というイメージが強いけど、非常に優れたゲーム機だった。いま見ると若干液晶の残像と視野角が気になるものの、現在でもまったく違和感なく遊ぶことができる。

久々にDS Liteを起動してみて新鮮に感じたのが「オートモード」(電源を入れて直接ゲームを起動できる設定)。最近のゲーム機は様々な誘惑に満ちたメニュー画面を通らなければゲームをプレイできないが、おそらくDS Liteは「電源を入れてからメニュー画面を経由しないで(カートリッジスロットに入れた)ゲームが直接プレイできる」最後のゲーム機のひとつなんじゃないかと思う(あとはゲームボーイミクロぐらいかな?)。
購入から10年経った今もちゃんと動作して電池もヘタっていない私のDS Lite。なんか使い道はないもんかと考えた結果、同じく1996年に発売された『テトリスDS』専用機として使うことにした。

松井秀喜さんが現役時代にベンチでプレイして意識をコントロールしてたとか、プレイすることで過去のトラウマが軽減されるとか……。『テトリス』が人の生産性や集中力の向上に寄与する、みたいな記事を今でも時々目にすることがある。たしかに『テトリス』をプレイすると頭の中が整理されてリフレッシュした、ような気になる。科学的な真偽はともかくとしても、仕事や勉強の合間に『テトリス』をちょっとだけプレイすると気分転換になるのは間違いない。
これまでスマートフォンとかパソコンに『テトリス』を何度もインストールして試してみたけど、本来の目的である『テトリス』から逸脱して別のことをする羽目になってしまいがちだった。その点、DS Liteと『テトリスDS』ならそういう心配は皆無。逸脱したくても、そもそも他の選択肢が存在しない。
電源を入れてすぐにゲームを始めることができて、メールもメッセージもアップデートも来ないのでひたすら安心してプレイできる。私は、作業の合間にCPUとの対戦モードをプレイして、CPUに勝ったら電源を切って引き出しにしまって本来の作業に戻ることにしている(CPUのレベルは4。レベル5にはめったに勝てないので)。CPU相手にムキになって30分とか1時間とかプレイするとかえって逆効果なので注意(当たり前だけど)。
いまamazonで調べてみたところ、発売当時あんなに高騰していたDS Liteは中古で1,000円ちょい。『テトリスDS』も800円ぐらいで買える。NEXTが6つあってHOLD機能も付いている『テトリス』がゲーム機込みで2,000円程度で入手できるのである。皆様もひとついかがでしょうか。昼寝のあとの眠気ざましにも最適です。

ニンテンドーDS Liteは、テレビゲームがいい意味で「玩具」だった、最後のゲーム機だったように思う。「携帯ゲーム機はもうすぐ絶滅するかも」という論調にも一理あるけど、たとえばポメラみたいなコンセプトで、一周回って新たな価値を身につけた「ゲーム専用機」が、またいつか登場してほしいなあと思う。

ニンテンドーDS Lite クリスタルホワイト【メーカー生産終了】

ニンテンドーDS Lite クリスタルホワイト【メーカー生産終了】

テトリスDS

テトリスDS